今日の授業について
今日は、昨日に投稿した「授業開きについて」で書いたことを意識しながら、実際に授業で実践した内容を記事にしたいと思います。この授業は 4年生と6年生を対象に実施しました。
昨日の記事にも書きましたが、授業開きの際に大切にしたいことは以下のことです。
- 事前知識があまりなくても解ける問題
- 算数を考える上で大切になる「考え方」を見つけることができること
- 算数の「不思議」を「教える」のではなく「一緒に見つけていく」というスタンス
詳しい内容については↓の記事にありますので、そちらを御覧ください。
なお、上記のような考え方のもとは、「教育出版」さんが公開している、教科通信の「coMpass 2015年春号」の、 細水保宏先生、盛山隆雄先生、大野 桂先生による座談会に書いてあることをもとに考えています。下記のURLから参照してみてください。
また、別年度に行った授業開きの授業実践は↓からどうぞ
4年生&6年生算数「授業開き」
今回の授業のポイント
- 算数の大切な考え方を見つけることができる。
- 前提学力を使わず、面白さが味わえるようにする。
1に関しては、例えば「共通点から、決まりを見つける」ことや、「情報を集める」ことで、新しい考え方を見つけることができるということを伝えることが大切だと思います。
2に関して、今回の教材は、「九九」と「2桁の足し算・引き算」ができれば解くことができます。
導入
今日はみんなに、先生が考える算数の大切なことを伝えようと思います。そのために、まずはちょっとゲームをして遊ぼうか。まずは、みんなに封筒を一つ配るね。この封筒の中身はまだ見ちゃだめだからね?
まず、「0~9」までの数字の中から、好きな数字を2つ選んでね。その数字を使って2つの2桁の数字を作ります。例えば「1」と「5」だったら、「15」という数字と「51」という数字ができるよね?まずは2つの数字をつくってノートに書いておいてね。
そうしたら、次に、「大きい2桁の数字」から、「小さい2桁の数字」を引き算してね。それができたら、今度はさっきと逆で、出てきた答えと、数字をひっくり返した数字を足し算してみてください。いくつになったかな?
できました!99になりました!!
できましたね、それじゃあ、最初に配った封筒を開けてみてください。なんて書いてあるかな?
実は、先生には予言する力があるんだ、すごいでしょ?
そんなはずないよ!なにか仕掛けがあるんだよ!なんで教えて!?
不思議な現象を目の当たりにした子どもたちですが、もちろん予言する力なんて私にはありません。全ては算数の仕組みのおかげです。子どもたちはそれを知りたくて「教えて」と言ってきますが、そこで私はこう言います。
もちろん仕掛けがあるんだけどそれは「教えて」はあげません。先生は、この仕組みを「みんなと一緒に考えて解き明かしていきたい」と思っています。だから、一緒に考えていこう!
こう伝えることで、子どもたちも他力本願にならず、自分で考えるということ、そして、先生は
「教えてくれるのではなく、考える手助けをしてくれる人」
というように印象づけていきます。それでは、次に展開に入ります。
展開
どうしてこうなるのか、なにかヒントになりそうなことはあるかな?
みんなの封筒の紙、見せてよ!あれ・・・みんな「99」になっているぞ?
そうです。今回の問題のポイントの1つ目は「すべて答えは99になる」ということです。
全員の答えが99になるということは、他の人が選んだ数字の計算の過程を見てみると、なにか共通点が見えるかもしれません。
いいところに気づいたね!みんな「99」になるということは、他のみんなもなにか同じような計算をしているかもしれないね。みんなの計算過程を調べてみよう!
こうやって、「共通点を探す」というのはこれから学ぶ算数でとっても大切なことになるよ!
こうして、1つ目の算数を考える上での大切な点「共通点探し」と「データ集め」という観点を伝えることができました。
板書
「共通点探し」をするために、みんなの選んだ数字と、計算過程を調べてみました。それが、昨日にも公開をした板書の様子になります。
①~⑤までの下には、発言した児童の名前をかいていたのですが、そちらは隠してあります。
さて、こうしてデータを集めてみると新たな共通点を見つけることができます。
次に私はこう発問しました。
なにか気づいたことがある人がいるみたいだけど、「まだこれから気づく人」もいるみたいだから、その人達が気づくためのヒントを言ってほしいな
引き算をしたあとの数字に注目すると、「共通点」があります!
私は、こういった発見を、誰かが気づいたことを指名してその人が発言してわかるのではなく、自分で気づいてほしいと思っています。
そのため、「答え」ではなく「気づくためのヒント」を言えないかな?とよく発問します。
これを授業開きでやることで、子どもたちも「どうヒントを出したらわかるかな?」と考えてくれるようになります。
さてみなさんはおわかりでしょうか?引き算をしたあとの数字は、全て九九の九の段の数字と同じ数字になっています。
全部九九の九の段で出てくる数字になっているよ!
そうだね!九九の九の段の特徴、みんなわかるかな?
九の段の数字は、9ずつ加法していくので、繰り上がって十の位が一つ増えると一の位の数字は一つ減っていきます。そして、9の段の一番始めの数字は「09」なので、十の位の数字と一の位の数字は合わせると必ず9になるので、九の段の数字をひっくり返して足すとすべての数字は「99」になるのです。
これで、どうして先生が預言者のように、みんなの数字を当てることができたのかわかったね。これでみんなも預言者になれるよ(笑)
こうして、子どもたちは「同じように99になったのはなぜなのか、他の人の計算過程をみる」ことによって「予想」をつけて「帰納的な考え方」をする基本を、そして「すべてが九の段になる」ことから、ひっくり返して数字を足すことで99になるだろうという「演繹的な考え方」の基本の2つの考え方について伝えることができました。
そして、板書にもあるように、「あつめる」「おなじ」という言葉は今後算数を勉強していく上で、とても大切になる考え方だよ、と伝えた上で、黒板に書き残しておきました。
これで授業は終わりです。
終わりに
今回の内容であえて触れなかった点が1つだけあります。それは「なぜ2桁の数字をひっくり返して引き算をすると九の段の数字になるのか」ということです。これについてはもちろん説明できるのですが、説明をすると少々高度になってしまいはじめに書いた「事前知識があまりなくても解ける問題」ではなくなってしまうからです。そのため、今回は算数的な考え方を身に着けさせる上で発見しやすい「九の段」という共通点を発見するというところにとどめました。一応、なぜ九の段になるのか知りたい人は、今回と同じように「情報を集め」てご覧と伝えました。
今回は授業の展開について記載したため、どうしてこうなるのかということについては簡単に触れただけになってしまいました。後日また、この仕組について記事を書いてみようかなと思います。
そろそろ夏休みに入りますが、夏休み明けの初回の授業などにやってみると面白いのではないでしょうか。ぜひやってみてください。
それでは 本日の記事はここまでです。 それではいつものように、 今回の記事が参考になったと思われた方、応援してくれる方は、励みになりますので、もしよろしければfacebookやtwitterでのリンクのシェアをお願いします。 また、関連記事などもありますので見てもらえると大変嬉しいです。それではここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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