2年生の9月の初めに実施する授業である「計算のしかたをくふうしよう」の単元の1時間目の授業についての記事になります。
夏休みが明けて、初めの方の算数の授業でこちらの授業を実施するのではないかと思います。
そのため、知識・技能を身に着けさせることも大切ですが、4月の時に算数の授業開きの際に伝えた「算数の考えを一緒に考えていく」ということを改めて意識しても良いかもしれません。
もし、トピック授業として授業開きのような授業を実施したい場合、下記の記事が参考になるかもしれません。併せて御覧ください。
2年生 算数 「計算のしかたをくふうしよう」授業の狙い
「計算のしかたをくふうしよう」の授業の狙いは学習指導要領に書いてある内容を要約すると下記のようなことになるかと思います。
知識・技能 加法の結合法則や( )の用い方を理解するとともに、簡単な加減法の暗算ができる。 思考力・判断力・表現力 ( )の中を1つの数とみて、式の意味を考え表現したり場面を式に表したりするとともに、3口の数の加法計算について、数量の関係に着目し、結合法則などを基に工夫して計算している。 主体的に学習に取り組む態度 加減の計算方法について、計算法則、数の見方や構成を活用して考えた過程や結果を振り返り、数理的な処理のよさに気づき今後の生活や学習に活用しようとしている。 |
上記から授業内で目指す目標を具体化すると下記のとおりだと思います。
- 加法の結合法則と,( )の用い方を理解し、3口の数の加法計算ができるようになること
- ( )用いた式から考えを読み取ること
- ・1つの問に対して、複数の解答方法を考え、自分なりの解法を作り出すこと
( )を用いることで、「数字をまとめることができる」という中学校で習う「多項式」にもつながる考え方の基本に当たるのではないかと思います。
そのため、例えばこの単元の最後の授業では、お買い物の時を想定して、下記の計算をやってみても良いかもしれません。少々教科書の内容からレベルが上ってしまいますが、児童の実態に合わせて取り入れてみても良いかもしれません。
KEI-TSUZUくんは、100円をもって、遠足のためにお菓子を買いにいきました。
36円のぐみと28円のラムネと32円のチョコレートを買いました。
おつりはいくらになるでしょうか。
これをこの学習をする前の子どもたちは多くの子が、下記の立式をするのではないかと思います。
100-36-28-32=4
もしくは
100ー36=64
64-28=36
36-32=4
のように、一つ一つ引き算をしていく方法を取る子が多いと思います。
ただ、この授業を終えると「数をまとめる」という新しい手段を得ることになります。
そのため、下記のように考える子がいるかもしれません。
36+28+32=96
100ー96=4
もしくは
100-(36+28+32)=4
この場合、先に引くべき数をまとめておくということをすることができます。
引くべき数をすべてまとめておいてから、100から引いたほうが計算が圧倒的に楽になります。
また、引く数も順序を考えて、28+32を先に行うことで簡単にすることもできます。
こういった少し発展的な内容も扱うと、より数のまとまりを意識することができ、次の学年へとつなげていけるのではないかと思います。
授業のポイント
1時間目 ( )を使う場面
まずは、3口の計算を立式するところから始めましょう。教科書にある、3口の計算になるお話を黒板に書いていきます。もしくは、パワーポイントなどで、その様子を絵にしたものを魅せても良いかもしれません。ここで私は少し子どもたちにいたずらをします。
例えば問題が
子どもたちが7人遊んでいます。12人新たに遊びに来ました。しばらくすると、また8人遊びにきました。遊んでいる子どもたちはあわせて何人になりましたか。
という問題だったとすると私は、
子どもたちが7人遊んでいます。12人新たに遊びに来ました。・・・
までしか言いません。問題を途中までで区切ることで、もう問題が終わりだと勘違いした子が、元気よく
はいはい!!答えがわかりました!!
といってくる子が何人かいると思います。そして、ここでその子達なりの考えを聞いてみるとよいと思います。一通り子どもたちから答えや考え方を聞いたあと
実は、みんな素敵な考えを出してくれたんだけど、このお話ここで終わりじゃないんだよ。
みんな先生の話を遮っちゃうから話ができなかったよ~
なんていうと、子どもたちは
えー!!ずるいー!!
と言いながらも、楽しく授業に参加できるのではないかと思います。それに加えて、上記の状況は加法であるという1年生の復習をしつつ、「問題は最後まで聞かなければ・・・」という意識もあわせて意識させることができます。
また、一度問題を区切ることで
7+12=19
19+8=27
というそれぞれをバラバラに計算した意見と
7+12+8=27
という一つにまとめて計算しようとする意見が出やすくなるのではないかと思います。
そしてここで大切なことは「計算の順序」に注目することです。
子どもたちが考えた式を発表させて、「答えをだす」ということが大事なのではなく「別の考え方を検討していく」ということが大切なのであるということを伝えていくようにしましょう。
そして、検討をしていく中で「計算の順序」に注目し、ひとまとまりの数にして計算の順序を変えていくことについて( )(括弧)を使うということを伝えましょう。
2時間目 ( )の役割
1時間目は「計算の順序」から( )の使い方を学んでいきました。
今度は、( )を用いることで、「数字をまとめることができる」ということが子どもたちに伝えられると良いのではないかと思います。
そのために、問題の状況に応じて、( )をつけると「何がまとまったのか」ということを考えていきましょう。
例えば下記の問題の場合、
お買い物にいって、Aの店で15円のあめと40円の消しゴムを買いました。Bの店では、30円のえんぴつを買いました。全部でいくらになりましたか。
という問題の場合
(15+40)+30=85
と表した場合は、Aの店で買った代金の合計をまとめているということになりますし、
15+(40+30)=85
と表した場合は、文房具の代金の合計をまとめたことになります。
問題文と( )をつけた式を見た上で、「どうしてそこに( )をつけているのか」ということを読み取る活動をすることで、( )をつけた意図を読み取り、( )を用いた式の良さを抑えるとよいでしょう。
例えばその活動の中に3口以上の計算をいれてもよいかもしれません。
答えを出すことが目的ではなく、どういったまとまりで立式をするのかということを考えるために、4口の問題などにも挑戦してみてもよいかもしれません。
3時間目~4時間目 2位数±1位数の暗算
今度は、次の目標である、2位数±1位数の暗算の仕方を考える活動です。
3時間目では「2位数+1位数の暗算」、4時間目では「2位数-1位数の暗算」について扱います。
繰り上がりの計算を行う時に、既に子どもたちはここで学ぶ考え方をしている子は多いと思います。
ただ、それを感覚で行っていて、きちんと考え方として説明することができる子は多くないのではないかと思います。
今回はそれを説明していくことで、「被加数分解(被減数分解)」の考え方と「加数分解(減数分解)」の考え方の良さを感じさせて、暗算の仕方に活用できるようにしていきましょう。
5時間目 学習の仕上げをする
最後に、「たし算の決まり(加法の結合法則)」に着目して、計算に活用するという演習問題をやってみましょう。
そして、その問題の解き方について、「式と考え方の説明」をセットにして答えさせるようにしましょう。
そうすることで、「どうして括弧を使うのか」ということが理解できているか確認できるとともに、改めて括弧を利用する良さに気づくことができるのではないかと思います。
また、2時間目の時に考えた「要素に応じて括弧をつけてまとめる」という良さと「数量の処理のしやすさ」に注目してまとめるという2つについて振り返りをしていきたいです。
2年生算数「計算のしかたをくふうしよう」授業指導案
「計算のしかたをくふうしよう」の単元では「様々な解法を考えていく過程」がとても楽しいものだと思います。
数理的処理の良さだけに注目をして、1つの解法を示すのではなく、子どもたちの発想や考え方を聞き、一緒に多くの解法を考え、その中から「自分にあった考えはどれだろう?」といったことを子どもたちに考えさせていくことが大切になるのではないかと思います。
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