【小学校】生成AIの使用した授業の活用事例と各教科プロンプト集|国語・算数・理科等全教科対応


前回の記事では、生成AIを教育現場に導入するうえでの「理念」と「利用ポリシー」についてお伝えしました。

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今回はいよいよ実践編です。

実際に授業のなかで生成AIを使ってみると、ひとことで「AIを活用する」といっても、その使い方はとても多岐にわたることに気づきます。「ただ質問して答えをもらう」だけでは、第1弾でお伝えした「1→100→10」のサイクルを生かしきれません。

KEI先生

私が授業実践を積み重ねるなかで行き着いたのが、

「目的に応じてAIに役割を与える」

というアプローチです。

AIにどんな「役」を演じてもらうかによって、子どもたちが引き出される思考の種類がまったく変わってきます。子どもがただ「答えをもらう側」に回るのではなく、AIとの対話そのものが学びになる——そんな授業を目指してきた結果が、この「7つの役割」です。

本記事では、それぞれの役割のねらい・具体的なプロンプト例・授業での使い方をまとめてご紹介します。そのままコピーして使えるプロンプトも載せていますので、ぜひ明日の授業から試してみてください。

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目次

生成AIを授業で使うときの7つの役割

はじめはただ漠然と子どもたちにAIを使わせていましたが、それだと結局生成物をそのまま使ってしまったり、AIだよりになってしまったりしました。

KEI先生

そこで目的に応じてAIを使えるように、AIをなんのために活用するのか子どもたちと一緒に考えることにしました。

その過程で生まれたのが「AIに7つの役割を与える」という手段でした。その7つは下記のとおりです。

  • 【擬人化・役割演技】
    なにかになりきらせることで、対象への理解や共感を深める方向性
  • 【反論・批判】
    自分の意見に反論する役割を与え、ユーザーの主張の弱点を指摘させる方向性
  • 【指導】
    AIにあえて間違えさせたり、教えることで理解を深める方向性
  • 【表現拡張・アイデア生成】
    自分の語彙や発想だけでは行き詰まった際に、AIから新しい言葉や選択肢を引き出す方向性
  • 【シミュレーター】
    現実には再現が難しい状況や、失敗のリスクがある場面をAI上で体験する方向性
  • 【伴走・フィードバック】
    AIを「親切な編集者」や「AI先生」として活用し、成果物に対して具体的なアドバイスをもらう方向性
  • 【自己分析・メタ認知】
    AIとの対話を通じて、自分自身の傾向や特徴を言語化し、客観的に把握する方向性

これらを使い分けて、目的に応じて使うことで、より子どもたちの発想が広がったり、深まる様子がわかりました。

KEI先生

それではここからは具体的な役割について説明していきます。

役割①:擬人化・役割演技|多角的な視点を育てる

どんな役割?

AIを物語の登場人物・歴史上の人物・生き物・物などになりきらせる使い方です。

教科書には書かれていない「余白」の部分——キャラクターが何を考えていたか、生き物が自分の体の仕組みをどう感じているか——をAIとの対話で掘り起こしていきます。人間以外の視点から物事を捉えることで、子どもたちの思考に「もしかしたら……」というひろがりが生まれます。

ねらい

  • 教科書の記述にとどまらず、対象への理解や共感を深める
  • 人間以外の視点・立場から物事を捉え直す力を養う
  • 「正解のない問い」に向き合う経験を積む

すぐに使えるプロンプト例 (国語・理科・社会の例)

【国語:物語文のキャラクターにインタビューする】

あなたは「○○(物語のタイトル)」に登場する△△(登場人物の名前)です。
私は記者として、あなたにインタビューします。
質問に対して、△△の気持ちや考えになりきって答えてください。
物語の中で書かれていないことも、△△らしく想像して答えてくれて構いません。

【理科:生き物になって体の仕組みを説明してもらう】

あなたは一匹のトノサマバッタです。
私は小学生の研究者で、あなたの体の仕組みについてインタビューします。
「なぜ後ろ足があんなに大きいの?」「複眼ってどんな見え方がするの?」などの質問に、
バッタの立場から、小学生にもわかるように答えてください。

【社会:歴史上の人物になりきって対話する】

あなたは江戸時代の農民です。
当時の暮らしや思いを、農民の立場から話してください。
私の質問に答えながら、当時の人々の生活や気持ちが伝わるように話してください。

授業での使い方のポイント

AIの回答をそのまま受け取るのではなく、「本当にそう言うと思う?」「教科書には何て書いてある?」と確かめる問い返しをセットにすると、批判的思考力(クリティカルシンキング)の育成にもつながります。


役割②:反論・批判|論理的思考を鍛える

どんな役割?

AIに「手強い反対派」「厳しい評価者」「あえて批判する役」を演じてもらい、子どもたちの主張の弱点を突かせる使い方です。

人間相手だと言いにくい「それ、根拠が弱くない?」という一言を、AIが代わりに言ってくれる——これが、子どもたちが自分の考えを客観的に見直す最初のきっかけになります。

ねらい

  • 自分の主張の根拠を強化する力を養う
  • 多角的な視点から反論を想定する力を育てる
  • 「言いっぱなし」にせず、考えを磨く習慣をつける

すぐに使えるプロンプト例 (道徳・国語・理科の例)

【道徳・総合:学級討論会の反対派リーダー】

あなたはこれから行われる学級討論会の「反対派リーダー」です。
討論のテーマは「○○(例:スマートフォンを小学生が持つことに賛成か反対か)」です。
私が「賛成派」として主張を述べますので、反対の立場から、できるだけ説得力のある反論をしてください。
感情的にではなく、論理的な根拠を使って反論してください。

【国語・総合:提案文へのフィードバック】

あなたは厳しいけれど公平な国語の先生です。
私が書いた提案文を読んで、「根拠が弱い部分」「もっと具体的にすべき部分」「読み手への配慮が足りない部分」を具体的に指摘してください。
良い点も合わせて教えてください。

【私の提案文】
(ここに子どもが書いた文章を貼り付ける)

【理科:実験結果への批判的な問い返し】

あなたは少し批判的な目を持つ科学者です。
私が出した実験の結論に対して、「本当にそう言えるの?」「他の原因は考えられない?」という視点で鋭い質問をしてください。
私の結論:「○○(例:植物は日光があると成長が早い)」

授業での使い方のポイント

AIに反論してもらったあと、「この反論に、どう答える?」と子どもたちに返すのが肝心です。AIの批判をきっかけに子ども同士で議論させると、学びが一段深まります。


役割③:教わり役|教えることで本質的理解を深める

どんな役割?

AIを「あえて間違える役」「何も知らない学習者」に設定し、子どもたちが説明・訂正・指導を行う使い方です。

「わかっているつもり」と「本当にわかっている」の差が最もはっきり出るのが、「人に説明するとき」です。AIというわかりやすい「説明の相手」を用意することで、子どもたちが自分の理解の深さを自然と確かめられます。

ねらい

  • 用語や公式の「意味・仕組み」を深く理解する
  • 相手に伝わるように言葉を選ぶ表現力を養う
  • 「教える学習」を通じて、知識を自分のものにする

すぐに使えるプロンプト例 (算数・国語・理科の例)

【算数:うっかりミスをするAIを正してあげる】

あなたは算数が少し苦手な「うっかりAIくん」です。
これから私が出す計算問題を解いてください。ただし、わざと1か所だけ間違いを入れてください。
私がその間違いを見つけて、「どこが間違っているか」「なぜそうなるのか」を説明します。

問題:(ここに問題を入れる)

【算数:公式の理由を教えてあげる】

あなたは「なんで?」「どうして?」とよく聞く小学生の子どもです。
私は先生として、「○○(例:三角形の面積の公式)」について説明します。
わからなかった部分は「なんで底辺×高さ÷2なの?」のように、素直に聞いてください。
私の説明が不十分だったり、間違っていたりしたら、「よくわかんない」と言ってください。

【国語・理科:まだ学んでいない子に教えてあげる】

あなたは「○○(例:光合成)」について何も知らない転校生です。
私がこれから説明しますので、わからない言葉があればそのつど質問してください。
最後に「わかった!」と言えたら、私の説明は成功です。

授業での使い方のポイント

「うまく説明できなかった」という経験こそが、一番の学びになります。「どこで詰まったか」を振り返る時間をセットにすることで、メタ認知の力も同時に育ちます。


役割④:表現拡張・アイデア生成|言葉の引き出しを広げる

どんな役割?

自分の語彙や発想だけでは行き詰まったときに、AIから新しい言葉・表現・アイデアの候補を引き出す使い方です。

大切なのは、AIに「答えを出してもらう」のではなく、**「たくさんの選択肢を出してもらい、その中から自分で選ぶ」**という流れをつくることです。選ぶという行為そのものが、すでに子どもたちの思考になっています。

ねらい

  • 自分の「言葉の引き出し」を広げる
  • 多くの選択肢から取捨選択する判断力を養う
  • 表現に対する「こだわり」を育てる

すぐに使えるプロンプト例 (国語・体育の例)

【国語:俳句・詩の表現を広げる】

私は「○○(例:夕焼け)」をテーマに俳句を作っています。
「赤い」「きれい」以外の言葉で、夕焼けの様子を表す比喩表現や擬音語を10個提案してください。
私はその中から自分の俳句に合うものを選んで使います。

【体育:ダンスの動きのコツやイメージ言葉を集める】

体育のダンスの授業で使えるように、体の動きを表すオノマトペ(擬音語)を20個教えてください。
「ふわっ」「どしっ」のような、動きのイメージが浮かびやすい言葉をお願いします。

【体育:作戦のアイデアを出してもらう】

サッカーの試合に向けて、チームの「必殺作戦」を考えています。
相手チームがディフェンスに強い場合に有効な作戦を5つ提案してください。
名前もつけてください。私たちがその中から選んで、自分たちの作戦を決めます。

授業での使い方のポイント

AIが出した候補をそのまま使うのではなく、「なぜこれを選んだの?」と子どもたちに理由を語らせることが大切です。選んだ理由を言語化させることで、表現への意識が育ちます。


役割⑤:シミュレーター|現実には難しい体験を疑似体験する

どんな役割?

現実では再現できない状況や、失敗のリスクがある場面をAIとのやり取りの中で疑似体験する使い方です。

「もし自分が市長だったら」「もし100年後の地形を予測するとしたら」——こういった「現実には難しいけれど、一度やってみたい」体験を、教室の中で安全に積めるのがシミュレーターとしての生成AIの強みです。

ねらい

  • 知識を実際の場面で活用する経験を積む
  • 変化する状況の中で判断を下す力を育てる
  • 正解がひとつではない現実の難しさを学ぶ

すぐに使えるプロンプト例 (社会・理科・道徳の例)

【社会・総合:市長として市民の困りごとを解決する】

あなたはこの町のさまざまな立場の市民です。
私は新しく就任した市長として、みなさんの困りごとに答えます。
一人ひとりが抱えている問題(例:道路が古い、公園がない、バスが少ないなど)を訴えてください。
私は市長として、予算のことも考えながら、どう対応するかを答えます。

【理科:環境の変化を予測するシミュレーション】

今から100年後、気候変動が進んだとき、○○地域(例:この町の川や山)の自然環境はどう変化しているか、
科学的な根拠をもとに予測してください。
その変化に対して、今の私たちができることも一緒に教えてください。

【道徳:選択の場面でシミュレーションする】

あなたはある場面を演じる役者です。
私が「もし○○だったら(例:友達がいじめを受けているのを見た)」という状況を伝えますので、
その状況の中で「周りの人たち」の反応を演じてください。
私はその状況でどう行動するかを考えます。

授業での使い方のポイント

シミュレーションが終わったあと、「実際にはどんな難しさがあると思う?」と現実との差を問い返すことが重要です。疑似体験と現実の対比が、子どもたちの思考を深めます。


役割⑥:伴走・フィードバック|自律的な学習習慣を育てる

どんな役割?

AIを「親切な伴走者」「AI先生」として活用し、子どもたちの成果物に具体的なアドバイスをもらう使い方です。

「書きっぱなし」「作りっぱなし」で終わらせないのが、この役割の最大のポイントです。AIという「最初の読者」からの反応をもとに、自らブラッシュアップしていく経験が、自律的な学習習慣の土台になります。

ねらい

  • 「書きっぱなし」にせず、見直し・改善する態度を育てる
  • 具体的なフィードバックをもとに自ら学ぶ力を養う
  • 個別最適化された支援を体験する

すぐに使えるプロンプト例 (国語・理科・外国語(英語)の例)

【国語:作文へのフィードバックとブラッシュアップ】

あなたは優しくて丁寧な編集者です。
私が書いた作文を読んで、以下の3点を教えてください。
①よかったところ(具体的に)
②もっとよくなりそうな部分(1〜2か所)
③改善するためのアドバイス

【私の作文】
(ここに子どもの作文を貼り付ける)

【理科:実験の考察文を磨く】

あなたは理科が得意なAI先生です。
私が書いた実験の考察文を読んで、「結果と考察がつながっているか」「根拠は十分か」という視点で評価してください。
改善点があれば、具体的にどう直せばよいか教えてください。

【私の考察文】
(ここに子どもの考察文を貼り付ける)

【外国語:英語の表現をより自然にする】

あなたは優しいネイティブの英語の先生です。
私の録音した英語の発音を聞いて、より良くなるためのアドバイスをしてください。
間違いを直すだけでなく、「こう言うともっと自然だよ」という提案もお願いします。

録音した音源を添付する

授業での使い方のポイント

AIのフィードバックを受けたあと、必ず子ども自身に「どこをどう直すか」を決めさせることが大切です。AIの提案をそのままコピーするのではなく、「自分はこう直したい」という判断を経ることで、主体的な学びになります。


役割⑦:自己分析・メタ認知|自分自身を客観的に見つめる

どんな役割?

AIとの対話を通じて、自分の強み・弱み・傾向・特徴を言語化し、客観的に把握する使い方です。

自分のことは自分が一番わかっているようで、実は一番見えにくいものです。AIという「鏡」を使うことで、自分では意識していなかったパターンや特徴が浮かび上がってきます。これは、自己肯定感を育てるとともに、「集団の中で自分がどう貢献できるか」を考えるきっかけにもなります。

ねらい

  • 自分の強み・苦手を言語化し、客観的に把握する
  • 自己肯定感と自己理解を深める
  • メタ認知(自分の思考を俯瞰する力)を育てる

すぐに使えるプロンプト例 (総合的な学習・特別活動・キャリア教育の例)

【学活・総合:強み・弱みを整理する】

私のことをよく知るために、5つの質問をしてください。
答えを聞いたあとで、「私の得意なこと」と「少し苦手なこと」を整理して教えてください。
否定的な言葉は使わず、どちらもポジティブな言葉でまとめてください。

【キャリア教育:自分のことをAIに紹介してもらう】

これから私のことをいくつか話します。
聞き終わったあと、まるで私のことをよく知っている友達が他の人に紹介するように、
私の良いところを3つ、具体的なエピソードを交えて紹介してください。

(ここで子どもが自分のことを話す)

【特別活動:グループでの自分の役割を考える】

グループで活動するとき、どんな役割が自分に向いているか知りたいです。
私の特徴を聞いてください。(例:人の話をよく聞く、アイデアをたくさん出す、まとめるのが得意など)
聞き終わったあとで、「このグループの中でこんな役割が向いているよ」とアドバイスしてください。

授業での使い方のポイント

AIが出した分析結果を読んで、「これは当たってると思う?なぜ?」と子どもたち自身に問いかけましょう。AIの言葉を受け止めながら、自分の言葉で語り直させることで、より深い自己理解につながります。


まとめ:役割を意識することで、生成AIは「思考の道具」になる

7つの役割をまとめると、次のようになります。

役割AIの立ち位置育てたい力
①擬人化・役割演技物語の人物・生き物など多角的な視点・共感力
②反論・批判手強い反対派・評価者論理的思考・根拠の強化
③教わり役間違える学習者本質的理解・説明力
④表現拡張・アイデア生成アイデアの壁打ち相手語彙力・取捨選択の判断力
⑤シミュレーター状況を演じる役者・住民知識の活用・判断力
⑥伴走・フィードバック親切な編集者・AI先生自律的な改善習慣
⑦自己分析・メタ認知自分を映す鏡自己理解・メタ認知力
KEI先生

大切なのは、どの役割においても「AIが答えを出して終わり」にしないことです。

AIの出力はあくまでも「1→100」のプロセス。それを「10」に収束させるのは、いつも子ども自身です。

そしてもうひとつ、どのプロンプトにも共通する注意点があります。

  • 個人情報(名前・住所・成績など)は絶対に入力しない
  • AIの回答をそのまま提出・発表しない
  • AIの出力が正しいかどうか、必ず確認する

この3つのルールは、どんな役割を使う場合でも変わりません。ぜひ、子どもたちと一緒に確認してから取り組んでみてください。


今回紹介した7つの役割とプロンプトは、あくまでも「出発点」です。使いながら、先生自身の言葉にアレンジしていくことで、より子どもたちの実態に合ったものになっていきます。

「まずは1つ、試してみる」——それが一番の近道だと思っています。

この記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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この記事を書いた人

2011年4月から小学校教員として働き始める。今年度(2020年度)で10年目。
自分自身の備忘録としての授業実践を記録しながら、他の先生方に役立つ授業実践の情報が提供できたらと考えてブログを開設しました。

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